▼女装学 日本聖公会中部教区 司祭 後藤香織様との対談
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3.カミングアウトの裏側



後藤 ある部分でカミングアウトしてしまうと、そこだけで抑えきれなくなり、自分が知らない所で次々に拡がってしまった場合にどうするのかという問題があるのです。
拡がってしまったものを収束させるのは、難しいことかもしれませんね。
後藤 難しいと思います…。同じ女装を趣味とする仲間の中で実生活などをカミングアウトする分には、女装者同士の暗黙のルールで、お互いに口外しないという決まりがあるように思いますが、それでもどこかでアウティングされる危険性があるかわかりません。
人の口には、チャックができない場合もありますし。。。
後藤 どこからか回りまわって自分の元に戻ってくるのです。「そんなことどこから聞いたの?」ということが良くありました。自分は慎重にカミングアウトしたつもりでも、人の行動や言動には制限付けられませんから。
女装は少し前と比べれば、だいぶ社会に溶け込んできたように思いますが、残念ながらまだまだ厚い壁が存在するように感じます。
後藤 世間一般の女装に対する理解度は、まだまだ低いので難しいところですし、下手をすれば墓穴を掘ることにもなりかねません。
女装を始めてしばらくすると、人によってはカミングアウトしたくなる時期が来るかもしれません。初めて女装をしたときの新鮮な気持ちが薄らいできてちょっと安心してきた状態という頃でしょうか。
後藤 そうですね。
カミングアウトをしないで何年も前からずっと女装を楽しんでいらっしゃるベテランの女装子さんでも、カミングアウトしたい気持ちになった時期がもしかしたらあったかもしれませんが、当時の社会はカミングアウトできない状況だったのかもしれません。
後藤 今は女装に対する許容度が高まったのかなと思えるところもあります。
インターネットの普及から、いろんな情報を気軽に集めることが出来るようになったとはいっても、カミングアウトの安全圏まだ少ないように思います。例えれば一般社会を大海原に例えると、女装世界は小島。カミングアウトをするということは、もしかした未知の世界に飛び込むともいえるのかもしれないと思うのです。
後藤 ご自分の周りにフルタイムの方や半分フルタイムの方がいらっしゃると、『自分にもできるかな』と思われる気持ちは分かりますが、実際はとても大変です。
フルタイムの方々は、世間の荒波をいくつも乗り越えて今があるのでしょうね。
後藤 そうですね。その方々の葛藤や悩み、苦しみなどがあるのでしょうけれども、そういったことはブログでもHPでも読み物ですので意外とあっさり読めてしまう分、軽んじてしまうところがあると思います。また、書いている方も、大変だったことはあまりお書きにならないので…。
フルタイムの方々に憧れると共に、裏側も考えて…ということなのでしょう…。

次回は【同性愛について】のお話です
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