▼女装学 日本聖公会中部教区 司祭 後藤香織様との対談
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1.女装とMTFとの違いとカミングアウトについて



日本聖公会中部教区 司祭 後藤香織様

後藤さんはMTFの分野が専門とのことですが、今回は女装分野からお話しを伺いえたらとお願いいたしました。
後藤 簡単にMTFと女装の違いをご説明するとしたら、フルタイムを女性として生活されていらっしゃるか、パートタイムで女性となるかの違いだと思います。
女装者は普段の生活時も完全に女性として生活をされていらっしゃるわけではございませんが、さらに追求される方となると、MTFやニューハーフまでは行かなくてもカミングアウト(ここでは、ご自身が女装をされていることを公表する事を意味します)をパートナー(妻)さんや親御さんにとお考えになる方も中にはいらっしゃいます。
例えばMTFの方々のように結婚問題やお仕事の問題等、生きていく面での問題は、かなり女装世界でも最近浸透したように思います。女装世界では、MTFやジェンダーのように深いところまで皆さん考えていらっしゃらないケースが多く、フルタイムで女性としてお仕事やご家庭内で生活をすることに憧れを持つ女装子さんが増えつつあるようですが…。
後藤 結構いらっしゃいますね。
そういう場合はどういう風にアドバイスしたほうがよいのか、何かアドバイスを頂けますか?
後藤 そうですね…、どこまで女装を趣味で留められるのか、それとも何か別なモチベーションや目的があるのか…。ひとつのライフスタイルとして女装を捉えて、生活の中にどのような形で取り入れていくのかによってカミングアウトをするかしないかを判断したほうがいいのでしょうね。
ゲストさんからのご質問で、カミングアウトの仕方を教えてくださいという問い合わせを頂くことも多々ございます。
職場やご家庭でのカミングアウトは難しいものなのではと思うのですが…?
後藤 私はフルタイムを女性として生活していますし、女性として仕事をしていますけれども、全ての方にカミングアウトしているわけでは、ないんです(苦笑)。例えば、親戚の集まりのところに行く時は、男物のスーツを引っ張り出してきて…。
ええ?!そうなのですか?
後藤 凄く変なんですよ(苦笑)。
鏡見ながら『なんか凄く似合わないスーツ』と思うのです。
特に親族は難しいと私も思います…。私も家族には話していますが、親族全てに話をしているわけではありません(苦笑)。話す必要もないと思いますが、何よりも親族に説明することは難しい点が多くて…。
後藤 難しいですね…。例えば仲良し友達のところで、実は趣味でやっているというようなカミングアウトだったら、割と受け入れられる可能性は高いと思いますが、より身近な人たちに(特にご家族)対するカミングアウトは難しいものですし、慎重に考えたほうがいいですね。
そうですね。
後藤 一番身近な人との関係崩れちゃいますとそれを修復するのが凄く大変です。カミングアウトをする際にはしっかりした目的をもってされた方が良いと思います。
既婚者の女装子さんの場合、カミングアウトをする対象が一番身近なパートナー(妻)とお考えになるケースが多いようです。
その部分が結構大きな課題だと思のですが、いかがでしょうか?
後藤 ご相談を頂く中には、カミングアウトをしてパートナーに受け入れてもらえれば今まで以上に自由に女装ができるというような目的でのお話もいくつか寄せられます。
本当に純粋に趣味だけで、絶対大丈夫だというような環境でしたらカミングアウトしても良いと思いますが、少しでも不安があればカミングアウトされないほうがいいのではと思います。
もしされるのでしたら、どうしてしなければならないのかを良く考えて、さらに女装を受け入れてもらえなかった時の為の、その後の事もお考えになってからのほうがいいのではと思います。
女性は女装に対して男性よりも比較的寛容な部分があるようですが、対自分のパートナー(夫)になると、女性はとても冷静に判断するように感じます。
後藤 なかなか大変だと思います。
私の場合は、妻とお付き合いしているときから『実は…』という話しをしていましたし、大丈夫だよと言ってくれましたので。
ご結婚する前から分かり合っていれば嬉しいですね。

次回は【女性の声について】のお話です
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