以前述べた大瀬神社の祭りのように、男性が女装をして行う祭事が日本にたくさんあります。
私はまだ勉強不足のため正確なことは言えませんが、おそらく祭事の女装は神界に入るため
実世界から飛翔する意味合いもあるのではないかと思います。また、女装は古事記にあるヤ
マトタケルノミコトの物語のように、敵を欺き近づくための手段として用いられることもあ
ります。面白い話としては、昔西洋のある国の王様が旅の途中資金に困り質屋に出向く際に
、身分を隠すために女装をした物語もあります。女装の目的はそのとき置かれている状況、
社会やその国の文化によりさまざまです。

女装行為をする意味は状況に応じてさまざまですが、どの方面から考えても共通している事
柄は異性装であるということです。女装は女性に対する男性の憧れがあるのも事実です。し
かし、もっと根本的な部分は「異なる人間になりきること」だと私は思います。その視点か
ら考えると、私にとって女装とは、なにもセクシャルな意味だけで捉えるのではなく、精神
世界・伝統的な民族社会・ひいては人間とは何かというその本質に迫る大きなテーマでもあ
るのです。