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 | 4.原始の記憶へ 
 美寿羽の知り合いの方の文章です。とてもすばらしい内容でしたので、本人の了解を得て掲載をいたします。
 
 「原始の記憶へ」
 
 男が女の姿に化け、女が男の姿に化けることが遊びのひとつとして人々を魅了するようになったのは・・・。
 
 それはきっと、この世の命が男と女に分かれたその日から種のように人の心に植え付けられた本能、切なる願いのような気がいたします。
 
 時を下って、出雲の阿国が男の格好をし、芝居や踊りで人々を楽しませ、それが後の歌舞伎となったことはあまりにも有名な話でございます。
 
 女はいわば、客体の存在。愛でられ、犯され、男の視線に耐えうるように創り上げられた悲しい生き物でございます。
 
 男はいうなら、主体の存在。戦い、守り、己の弱さを否定しなければならない哀れな生き物とでも申しましょうか。
 
 そのような性の垣根を取り払う、性的倒錯、異性装。それはいつの時代も人々の心をとらえてやみません。
 
 「女は女に生まれるのではない。女になるのだ。」と、かの哲学者ボーヴォワールは書き残しました。
 
 わたくしはあえて、こう申し上げたい。「男は男に生まれるのではない。女になることもできるのだ。」・・・と。
 
 女を支配する本能をもつはずの男が被支配の立場の女に変わるその瞬間・・・この上ない快楽と、素晴らしい喜びが生まれるのでございます。
 
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