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早稲田大学女装研究会 「学生から見た女装とは?」



早稲田大学 女装研究会代表 勝川様

早稲田大学の女装研究会を知ったきっかけはアルテミスにご来店のゲスト様が「母校にこんな活動があるようですよ」と、学園祭で行われているサークルのイベント【女装BAR・アネシス】のポスターを下さったこと。学生さんが表現する女装に興味を持ち、2009年5月14日に早稲田大学・女装研究会に、私とスタッフの音・双と共に取材に向かいました。
学生さんが表現する女装は自分に正直であり、ありのままの姿で、また将来どのように向かい合ったらよいのかなどの葛藤もあるようでした。
今回は、代表の勝川様のインタビューの一部をご紹介いたします。

美寿羽 楓…「楓」
勝川…「勝」

早稲田大学の活動について
−これが早稲田だ!−
早稲田大学・女装研究会の活動を教えてください。
日々の生活で皆で集まり活動をすることはありません。主に、一人一人で行動をしています。個人がどのように表現するかが大切と思っています。
団体としての活動は年に2回です。早稲田大学では年2回、大きなイベントが行われます。前期は「100キロハイク(*1)」、後期は「学園祭」です。大きなイベント時には皆で行動をしています。
また僕達の女装は「女性にうける女装」です。流行のファッション&メイクを意識して、僕達の年齢に合わせた女装を心がけています。
いつから発足したのですか?
2008年4月です。
部員は何人ですか?
7人です。男性5人、女性2人です。
女性部員もいらっしゃるのですね。
基本的に女性部員は「お客さん」のような感じで、男性部員と一緒に楽しめたらと考えています。また、自分達では分かりにくい、女性独特な感性やファッションセンス等、教えてもらえたらなと思っています。
100キロハイクは大変有名な行事ですね。
僕が女装を始めたきっかけが100キロハイクでした。1年生の頃、初めて参加をした時にたまたまメイド服を着た男子がいました。メイド服を着ただけで化粧もすね毛の処理もしていません。その姿を見たときに「もっと綺麗に女性らしく見せることができないか?」とか、「自分だったらどのように表現できるだろう」と興味を持ったことが始まりです。
そもそも大学生が学園祭や各企画事でする女装といえば、カツラをかぶって服を着ただけといったイメージが多いようです。早稲田大学女装研究会ではそのような女装の姿ではなく、本気でやったら男性もどこまで綺麗になるかを表現できたらをテーマに、活動をしていきたいと考えています。そのきっかけをつくったのが100キロハイクでした。
昨年の学園祭では女装BARアネシスをされたそうですね。
こちらのポスターを拝見したとき衝撃と感動がありました。
妖艶な薔薇と黒背景、サブタイトルもなんとなく意味深なのに、モデルさん達の爽やか笑顔。この見せ方の対比が大変興味深かったです。
学園祭での模様を伺えますか?
BARといっても喫茶店のような感じです。勿論、僕達は女装で接客をしました。お越しになった方々に飲み物を出して、ゆっくり寛いでもらうようなスタイルです。各部員ごとに作ったプロフィールファイルもつくりました。
嬉しいことに、想像以上に多くのお客さんがお越しになってくだいました。本来でしたら、1人1人テーブルについて接客をした方が良いのですが、部員の人数が足りませんでした。そこでこのファイルはとても役に立ちました。お客さんがファイルを見ることで世界観を楽しんでもらえたからです。
A5の用紙にびっしりとキャラクター設定を細かく記載し、それを読むことで「この女の子はこんな人生」といった世界観も楽しんでいただきました。
エピソードはありましたか?
学園祭をきっかけに彼女ができた部員がいます。お客さんが彼女になりました。
お客さんの9割が女性です。「女性にうける女装」を意識していることもあり、男女の出会いのきっかけになったのかなと思っています。
出会いの空間になったのですね。女装の理解がある彼女がいるなんて、恐らく女装子さんにとって理想の形なのかもしれません。学園祭を通じて愛が生まれる。素敵な出来事ですね。

さて、話題は変わりますが、勝川さんが考える「これが早稲田の女装だ!」というコンセプトをお話しいただけますか?
自分が考える「早稲田らしさ」というのは、【ポリシーを持って自分だけの表現を実行すること】だと考えます。上手下手ではなく、今の自分を精一杯表現することです。僕にとっては女装をして人前に出ることが自己表現だと考えています。
「これが俺だ!」「これが早稲田だ!」。皆、それぞれの早稲田を表現しています。表現をすることが大切で、表現をしていない人には何を言っても説得力がないと早稲田大学の学生は思っているのではないでしょうか。
女装をすることで時には厳しい言葉を頂戴することもあります。でも、僕を評価してくれる人もいます。人の意見を参考にしつつ、自分のポリシーを持って、女装を日々の生活にも取り入れて表現を続けること。女装を極めていけたらと思います。

かかわりについて
−女装との付き合い方−
学生生活と社会人とはかなり生活環境が変化するものと思います。卒業後はどのように変化をすると考えますか?
今のようなやり方の女装は一人暮らしであるかた続けられることだと思います。大学を卒業して実家に戻れば難しいでしょう。ここまで女装を鍛えてこれたのは一人ぐらいの恩恵です(笑)
ご両親はご存知なのでしょうか?
知っています。以前、女装をしている状態を見てもらったことがありますが、反対をされてしまいました。地元の風習を考えると女装はちょっと難しいと思います。
社会人になっても女装は続けますか?
生活環境によってやり方は大きく変化をすることになると思います。一人暮らしだったら、もっとお金をかけて極めたいと考えています。どのような会社に就職するかにもよりますが、もしその会社のイベント行事などの出し物で女装をしても良いのであれば、何かしらの形で(宴会などで)披露をしたいですね。
ただ、もし地元に戻るとしたらどのようになるのか未知数です。まずは女装をする為のスペースを考えなければなりません。女装用品を何処に保管するかも考えなければなりません。
社会人となれば生活環境も変化しますし、今はどのようになるかよく分かりません。学生の今だからこのペースで女装を続けることができます。女装を続けるか、それとも辞めてしまうか。その状況にならないと僕自身、今現在はわかりませんね。
 
・・・続きます

楓の質問はここまでです。この後はスタッフの音・双のファッションや彼女についてといった女性らしい質問が続きます。この続きは「乙女画報」に掲載をいたします。
「備考」
(*1)100キロハイク …
早稲田大学で行われている100キロを歩く恒例行事。服装は自由とされ、普段身に着けることの無い服装でも参加可能とされている。
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