▼女装学 女装BARサイクル 日下部みどり子様との対談
コラム HOME女装好学 > 日下部みどり子様との対談(3)

←前のページ 次のページ→

0

3.女性として旅行を楽しむ心得

サイクル 日下部みどり子様

次に、旅行の話しを伺ってもよろしいでしょうか?女性スタイルで旅行を楽しむにあたり、初歩的なご質問ですが、まず何を用意すればよろしいのでしょうか?
みどり子 用意するもの。(当たり前ですが)女装用具ですね。これだけは外せないですね。
第1には女装用品。その中でもこれは忘れてはならないものとは?
みどり子 どんなことがあっても忘れられないものは私の場合ウィッグですね。極端なこと言うと替えのウィッグも含めてですね。ちょっとアドバイス的に言うと、ウィッグって雨に濡れたりお風呂とか入ったりすると、水分や湿気でグシャグシャになっちゃうでしょ。だから替えのウィッグ。温泉用のウィッグと普段外を歩く用のウィッグ。例えば二つ持って歩くとか。
なるほど。そういえば、みどり子さんの温泉シーンのフォトを拝見したことがあります。色っぽかったです。お肌白いのですね。
みどり子 撮り方が上手いんですよ(笑)。
旅行する前に準備をすることといったら何をしたらよろしいのでしょうか?
みどり子 私はスケジュールたてもできなければ、物を用意するってことも殆どできない。殆ど同行のお友達にまかせっきりなので。でも、まあ、ボストンバックに・・・紙に書きますね。紙に書いて、例えば、石鹸とかタオルとか化粧ポーチとか、必要なものをこうだーっと。それを必ずチェックして、途中で何があるかわかんないので、男もののシャツとジーンズ。いつでも男に戻れるような格好。けっこうな大荷物になりますよ。そうすると当然スニーカーも必要になります。女の子の格好した時にパンプスなり、サンダルなり、ブーツなりが必要でしょ。私が考える女装子って言うのは、結局一種のナルシストって言うか、自分が女装して、例えば、信州なら信州の風景の中、上州なら上州の風景の中、海辺なら海辺のところに、自分がそこに移動をして、写真を撮ってもらって、ひとつの絵にしてもらって完成なわけです。そうすると、海なら海の格好をしたいし、山なら山の格好をしたい。普通に旅行へ行くのなら同じ格好で二泊くらいだったら、上をちょこっと替えるくらいでよいと思いますよ。
ロケ地に合わせて…ですね。
みどり子 ロケ地に合わせて、だから一種のファッション撮影みたいな要素もちょっと含んでいたりするわけです。最近凄い手を抜いていますが(苦笑)。
旅行は荷物の量が増えますね。久美ママ(サイクル店長)と一緒に旅行をする際に、久美ママが一番凄い量持っているかも。半端じゃないくらいの量になりますから、先にホテルに郵送してしまいます。
凄い量のお荷物になるのですね。
みどり子 TPOに合わせてミニであったり、ワンピースであったり、フレアだったり、タイトばっかりだったり…。例えばスカートだけでも、本当に5,6枚持っていきますね。
ファッションショーのようですね。
みどり子 ファッションショーですよね。午前中と午後で違う格好をしていたり。昼は昼の格好、夜は夜。
私の場合、荷物の量があまりにも増えたくないので、男性時は「下は全部一緒で上だけ替えればそれでいいや」といった感じになってしまうのですが(苦笑)。女性だったらやはりその場所によって、それぞれの人がそれぞれ考えるファッションで楽しみたいと考えるのだと思います。この風景の中にはこの格好で納まりたいっていう。それに尽きると思いますよ。同じ日でも、途中でちょっと違う格好したいみたい気分になりますね。
ホテルといえば、宿泊をする際にご予約はどのようになさるのですか?
みどり子 良く分かりませんが、今はそんなに難しくないですよ。
シティーホテルではどうでしょうか?
みどり子 全然もう。大丈夫ですよ。
チェックインは女性として男性としてなどその点が気になるのですが…
みどり子 それもその時の気分や状況次第ですね。他の例えになりますが、飛行機乗るときにはやはり男性の名前のほうが良いですね。でも、航空会社の人は、女装してパス受け取りに行ったからと言ってとやかく言わないですよ。
私的な答えとしては緑子が高ぶっているときは緑子で予約入れちゃうし…。
久美ママ 旅館で男湯と女湯があるところ以外はそう難しくはないはずです。大浴場とかがなければ大丈夫だと思いますね。旅館が一番難しいですよ。ホテルなら男性でも女性でも比較的普通ですが、旅館の場合にはそうはいきません。
みどり子 後は旅館とかけっこう下の名前聞かなかったりするので、日下部で予約をした2名とか3名とか言って…
久美ママ 旅館の人びっくりするよね。
みどり子 びっくりするね。後はちょっと心に余裕があるような時には、予約を入れる時に、男みたいな女みたいな男みたいのが行きますからって言います(笑)。
事前に先方に一言伝えるということですね。
みどり子 余裕がある時には予め一言伝える事もあります。
久美ママ と、言うのも、お風呂でもめる場合があるからです。
みどり子 そう。お風呂でもめそうだなと、ちょっとでも感じた時には予め伝えます。女装旅行超初心者さんでしたら旅館は行かないほうがいいかもしれませんね。
久美ママ 若しくは、お風呂利用は貸し切りが良いです。
みどり子 そうだね。最近は貸し切りのお風呂があるようなところが…。女の子気分を楽しみたいと思うのだったら、家族風呂があるような貸し切りのお風呂や、個室風呂があるようなところに行かれたほうがいいですね。また、私は大浴場でいくら女装しているからとか言っても女湯に入るのは絶対反対です。絶対ダメです。お風呂に係わらず女性限定場所でばれなかった事を武勇伝として語る方もいらっしゃいますが、私的にはおすすめできません。
久美ママ 入浴時のトイレ問題もあります。お部屋にトイレがついているようなところを選んだ方が良いですね。
みどり子 どうしても大きいお風呂に入りたければ、私は男湯を選びます。貸し切りか男湯か混浴ですね。入浴シーンの撮影も何回か経験がありますが、女湯に入っている写真は一枚もないし女湯に入った経験というのは、一度だけ宿の方が女湯に入って下さいとお話しされたので止むを得ず女湯に入った一回きりです。落ち着いては入れませんから、その後は二度と入るまいと思いました。
いつ女の人が入ってくるか分かんないですからね…。
みどり子 ホテルとかねそういったところに迷惑かけるし、何かあったら…問題ですね。
久美ママ 問題が起きてしまうと、その後、女装の子が来ることが出来ない場所になってしまいます。
みどり子 その旅館だけでなく他の旅館とか関連した場所にも影響が出ます。波及していき、しまいには女装者お断りということになったら非常に問題です。どうしても大浴場に入りたかったら男湯ですね。女の子気分を味わいたいのであれば、トイレつきの部屋を借りてゆったりと入ったほうがいいと思います。
久美ママ 大浴場の女湯には入ってはいけませんよ。
では、旅行するに当たって何かアドバイスや心掛ける事はあります?
みどり子 旅の恥はかきすてにしないっていうことかな。女装(特に旅行中)は自分の普段の生活圏と離れているので、ついつい開放感がより大きくなってしまいがちです。「旅の恥はかきすて的」な、羽目を外し過ぎる行為、マナー違反・ルール違反はNGということです。
凄く重要ですね。
みどり子 それが一番重要かな…それ以外は自己責任ですね。「リスクは常に自己責任で負う」こと、もうひとつは、「旅の恥はかきすてにしない」ようにしようよっていうことです。それがあなたのためでもあるし、あなたの仲間でもある他の女装者のためでもある。みんなの幸せのたに大切なことです。
常に、代表となって行動をしているという気持ちですね。
みどり子 要するに女装外出をするのでしたらそうですよね。たった一人の人間が何か羽目を外すことによって全体に対しての影響とか悪い評価が付いてしまいます。まして女装は市民権(のようなもの)を得ているようでまだまだ得ていないのです。まさに今、市民権を得ようとしているところなでのす。だから、「女装している人でもこんなにちゃんとしているんだ。」「女装している人でもルールや物事分かっているんだ」とか、常識的な人たちなんだってことが分かればどんどん受け入れられると思いますよ。社会進出って言うのかな。旅行だけじゃなくて、例えば私が女装の姿で仕事をしているのと同じように、みんな昼間から女装姿で仕事ができるようになるかもしれない。だから権利と言うのはこわだかに権利を振りかざして勝ち取るものではなくてそういう草の根的に一人ひとりが頑張っていくことによって、得られるものじゃないのかな。与えられるものなので、勝ち取るものじゃなくて助けてもらうものだと思いますよ。
なるほど…
久美ママ この人って女装しているけど、いい人だよねって言われたいですよね。
みどり子 女装しているけど、常識的でいい人だよって思われたいですよね。せっかく女装をしているのですからいろんなシーンで褒められたいじゃないですか。優しいとか…。ルール違反(女風呂等のように)の行為をしてばれなかったとかいうのは、そんなことはステータスでもなければ、勲章でもありません。「女装しているだけあって気が利くよね」とか「優しいよね」と、言われたほうが嬉しいと思うのです。旅行とか最初の質問とか全部絡んでくる話しになるのですが、これが一番心がけることだと思います。

次回は【サイクルさんについて】のお話です

0
←前のページ 次のページ→
女装BAR【サイクル】:http://www.tokyojosou.net/cycle/cycle.html