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楽しいショッピング
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皆さん、こんにちは。今日から連載させていただきますりょうちゃんです。女装の楽し
みは色々あると思いますが、私の記念すべき一作目は、スカートに焦点を合わせていこ
うと思っています。
 グレイのように男性のメイク、茶髪、ピアスなど男性の女性化が進む中、スカートは
依然として、男性が越えられない聖域のようです。だからこそ、女装をする楽しみの1
つに、スカートがあると思います。
 それでは、是非、ご試読のほどをお願いいたします。


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「スカート」

「欲しい。今度こそどうしても買いたい。先週、結局、デパート3階・婦人服売り場の
店に入ることはできたんだけど、スカートまで手が出なかった。でも今日はなんとして
も・・・・」。

3月下旬。春なのに、何となく、初夏を思わせるような暑さだ。デパートに入ると、す
ぐに眼の前が明るくなった。店内のフロアと周囲はピカピカ。そして楽しくなるような
デズニーのBGMが聞こえてきた。
又、早くも、クーラーが入っているのか、やや、涼しさを感じる快適な気持ちで、もう、
それだけでも、ショッピングが楽しくなるような気がしてきた。デパートの特徴だ。デ
パートに入るまで少し緊張していたけど、おかげで少し、その緊張が和らいだ。やっぱ
り、買い物はデパートの限る。スーパーとは違う。

そして、今日、行くのは婦人服フロア。先週失敗して、買えなかったので、今日はゲン
を担いで別のデパート、「そがう」にした。
入って左にある店内案内のボードを見ると2階;ヤング・レディス、3階;レディス・
ミセス・ミッシーとあった。やっぱり、ヤング・レディスがいいと思い、2階を目指し
て「さあ、今日こそは」と思いながらエレベーターに乗った。乗るときにふと考えた。
エレベーターの左は昇らずに立って待っている側、右は皆、登っている、つまり急いで
いる人たちの側。着くまでは時間をかけ良く考えたいと思ったので左側に乗った。

「どんなスカートがいいかな。やっぱり、春らしく軽くて、パステル調のがいいかな。
又、今流行のふわゆれスカートってのを見てみたいな。あるのかな。」

なんて、のんきに考えていたら、もう、2階・ヤング・レディス売り場が見えてきた。

「あっ、そうか。2階だから、もう着くんだ」。

先週は3階だったので、エレベーターで登っているときにゆっくりと、どんなスカート
がいいかとか、どんな感じで入店した方がいいかなどの作戦を、考えていたのだが、今
回は2階なので、じっくりと考える暇がない。すぐにつくのは当然だ。

「あ〜。もう、着くよ。できれば、3階のほうが、心の準備ができたんだけどなぁ〜。」

そう思うと、少し心臓の高鳴りを感じ始めた。
エレベーターで2階に上がると、すぐに春の薄い、ベージュのブラウスとやはり薄手で
同色のプリーツ・スカートをエレガントに着こなしているボディ(首のないマネキン)が、
僕の眼に飛び込んできた。
その瞬間、「あれ、いいなぁ。やっぱりスカート買うならヤング・レディスに限るな。」
と思ったがその瞬間、これからスカートを買うという現実へのドキドキ感が僕の心の中
に非常に複雑に入れ込んできた。
実際、そのボディーの着ているブラウスとスカートをもっと間近で確認したかったんだ
けど、ディスプレイされているのは通路だ。そんなことをすれば周りにいる他のお客さ
ん(女性客)に注目されることになる、それはとても耐えられないので、止まらずに横目
で見ることが精一杯で、その右横を通り過ぎた。

「あ〜。あのブラウスとスカートを、手にとってもっと良く見たかったなぁ。」
 
と残念な気持ちとドキドキする気持ちを押さえながら、まっすぐ進んだ。まっすぐ進む
と突きあたったので、そこを右に曲がって、少し進むと入ろうと思っていたショップが
見えてきた。
僕は他のお客さん、当然女性客になるので、彼女たちがあまりいないお店、およそ、フ
ロアの中でも片隅にある店を選んでそこに向かった。
その店はすぐ僕の目の前に現れたが「えっ」っと勝手が違うことに驚いた。

僕の考えていた情景は、「平日の午前、店内は他の女性客が少なく、つまり、2,3人
くらい、そして店員(勿論女性)も二人くらい、ややヒマそうな雰囲気。」を考えていた。
そしてその店員は少ない女性客の接客に対応している為、僕には対応できなく、店員か
らすれば、男性客が入った事はわかっているけど、女性客の接客の方に気をとられ、僕
には話しかけてこない、そうすれば、僕は落ち着いて、その時間にスカートを良くみて
買うことができる、と思っていた。そして、その情景が最も僕の買いやすい状況と思っ
ていた。
最悪なのは、一般の女性客が沢山いることだ。沢山いればその中で、何人か、少なくと
も一人くらいは変な目で僕を見るだろう。それだけは嫌だ。だから、夕方は混雑するだ
ろうと思い、他の女性客が少ないこの時間を選んだのだ。
所が、その期待は崩れてしまった。

それは・・・他のお客さんが全くいなかったのだ。

店内は店員さんが一名、凄く暇そうにして、そのとなりと向かい側の店、婦人服フロア
なので当然、どちらも婦人服売り場、そこも同様、店員以外は誰もいない。
つまり、僕の入ろうとしたショップも含め、その近くのショップ一角全体は、店員さん
以外、誰もいない状況だった。
あたかも僕の入ろうとするショップが両手を大きく開けて、

「スカート、買いに来たのね。いいわよ。じっくり相談に乗るわよ」

というように構えられている感じだ。
このような状況で僕が店に入れば、否応なしに凄く目立ってしまう。僕の入る店どころ
か、他店の店員も注目するに決まっている。ましてや買い物はスカート。どうしよう・
・・。

そうな事を迷っている間に僕はショップに向かって歩いているので、店はどんどん、僕
の眼の前に近づいてくる。だからといって、立ち止まったり歩くスピードを遅くしたり
すると変に目立ってしまう。
店は真正面。左右は勿論婦人服売り場。どうしよう。

ついに店の入り口付近まで来た。ここで僕は顔が熱くなったことを感じた。

「どうしよう。入るか? でも・・・。しかし、ここで入らなかったら、それは先週も
ダメだったので、それは、もう、入れないことになる。
じゃあ、思い切って、入るか。でも、この状況じゃあ・・・。ああ、早く決めなきゃ。」
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とっさに考えて、
「いや、ちょっと時間をおこう。このままじゃあ、あまりにも・・・。一旦は、通り過
ぎて少し休憩をして、又作戦を考えよう。10分くらい時間をずらして考えても対して
変わらないだろう。」
瞬間的に考えが思いつき、決断した。

そう思い、僕は店の正面から道に沿って右に回った。そこには買い物客が座っている休
憩スペースがあった。そこには買い物でやや疲れているのか、多くの人が座っていた。
特にお父さん風の人が多く、「多分、お母さんの買い物に付き合わされるけど、婦人服
の売り場には入れず、ここで休憩しているんだなあ。まあ、良くテレビとかでそんなこ
とを聞くけど、本当なんだなあ」と思い、僕も皆がいる適当なスペースを選んで座った。
座るとほっとして少し気持ちが落ちついた。
「やっぱり、絶対にスカートを買うと考えると、予想以上に緊張するなぁ」。
顔のほてりは気づいたらなくなっていた。僕はかなり前にスカートを買いに行ったとき
のことを思い出した。

「確かに、あの時もこうだったな。でもあの時ほどの緊張はないものの、やっぱり凄い
緊張だよな。」
「やはり、やめようか?でも、やめるということはもうスカートを買えないと言うとこ
だよな。それは・・・。
時間を少しずらすかな。他のお客さんが2,3人入ってくるまで待って。そのドサクサで
スカートを買うのが一番いいと思ったんだけど。
でも、時間をずらすと、逆に女性客が沢山入ってくるときもあるなぁ。そんな状況では、
僕には絶対変えない。無理だ。じゃあ、今か? 
もし今入ると誰もいないから間違いなく店員さんは僕に声をかけてくる。スカートを見
ていたら、『プレゼントですか?』といわれるのかな?それとも『御自分で履かれます
か?』。そんなこと聞かれたら、なんと答えようか?

でも、実際に『自分で履こうと思っているんだけど・・・・』と言わないと、サイズが
合わないと後で使えないし・・・。
実際に、最初、プレゼントといってスカートを買ったとき、サイズを店員の言うことに
あわせて、凡そで買ったら、大きすぎて、使えなかったなぁ・・・
ズボンはベルト通しがついていて、少し位、サイズが大きくても使えるけど、スカート
ってベルト通しがなくて、本当に、サイズが合わないと、使えないんだよね。今まで、
スカートに限らず何でも「大は小を兼ねる」と思って、あの時も、「少し大き目を選ん
でおけば、何とかなるだろう」と思っていたけど、家に帰って、履いてみると大きすぎ
て、使えない。
まぁ。スカート自体は好きなので、飾り物にしておくけど、やっぱり、自分に合うスカ
ートがいいなぁ。でも、そうなると、白状しなくてはいけないし・・・
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そうだ、最初パンツをみて、それからスカートに持っていけばいいんだ。パンツなら男
が履いてもそれほど違和感はないと思うし。又、僕も言いやすい。パンツを選んでいる
ときに、僕が自分で使うような感じに持っていって、スカートに変えると、いいかもし
れない。
逆に、状況によっては意外とスカートを勧めてくれるかも知れないし。

「うん、それがいい。」

そして、入る時間帯は・・・・。

「やっぱり、今行こう!!」

もし、時間をおいて、女性客が多くなったら、今日は帰るしかない。
遅くなれば遅くなるほど、女性客が多くなる確率は高くなってくる。今の、朝11時過
ぎが一番いいんだ。もう、腹をくくるしかない。

「じゃあ、行くか!!!」

しかし今度あの店の前に行ったら、絶対入らないといけないぞ。又、通り過ぎると婦人
服の店の前を、ウロウロしている男性客、絶対、変と思われるからな。今度は失敗が許
されない。
そしてもっと、軽い気持ちでね・・・

「よし、じゃあ、今度こそ入るぞ〜」

 そう決心すると方向性が決まったせいか、少し落ち着いた。少しゆとりが出てきたせ
いか、近くにあった自動販売機に気づいて、缶コーヒーを買って一気に飲んだ。
「さて、いこうかなっ」
と思ったとき、近くに大きな姿見があったので、それを見ながら髪を整えた。

「僕って、意外と女顔かもしれない。ひょっとして店員さんも『この人、スカート似合
うかも』なんて思うかもよ。
あははは、それはないか。でも、変に気が楽になったかな。あまり、緊張しないで。女
性から見れば、いつも使っているたかが、スカートなんだから。男のズボンと同じだ。
絶対にこっちが気にしているほど、向こうは気にしてしないはずだ。

「うん、いける。よ〜し、絶対次は入るぞ〜〜〜」

本当に一大決心って感じで休憩スペースを出た。入るショップの道順は、さっきと逆な
ので、目指すショップは右側にある。
しかし、その時本当に偶然、左側のショップに向かってくる女性二人組みが見えた。彼
女たちは楽しそうにおしゃべりをしながら、左側の女性は右側の女性と話しながら、僕
の目の前に見えるボディにディスプレイされている春物の凄く軽そうなプリーツ・スカ
ートの裾を、右手で軽く触りながら、簡単にそのショップに入っていった。
 きっと、女性二人で

「あら、このスカート、いいわねぇ。何か良い春物、入ったかもね。」

なんて、気軽な気持ちで入ったんだろうなぁ。

 「ああ・・・。僕もあんな気軽な気持ちでスカートが、買えたらどんなに楽しいかな
ぁ〜。僕も一度でいいから、あんなふうに、緊張せず、ディスプレイされているプリー
ツ・スカートの裾を、触りながらショップに入れれば、どんなに楽しい気分になる事か
なぁ。」
 という気持ちで一杯になった。

「さあ、行くぞ。こんなもの、回数をこなせば、あんな感じに気楽になるんだ。今日は
その第一歩だ。」
今度こそ必ず入るという決意で僕はショップに再び向かった。

 さあ、彼は無事に入店できるでしょうか?念願の自分に合ったマイ・スカートを買う
ことができるのでしょうか?又、店員さんはどんな人なのでしょうか?どのように彼に
接するのでしょうか?
実際、彼が最初に描いていた雰囲気がまるで違うことで、一度は入店ができませんでし
た。
確かに、多くの女性客がいる中に、男性客が一人ということは、目立って入店できにく
いでしょう。
 しかし、このように、自分以外、全く誰もいないという状況も、別の意味で非常に目
立つ状況です。
 彼が一度はくじけたのも当然だと思います。でも、丁度良いところに、休憩スペース
があったものです。
 それでは、次回をご期待ください。
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