▼女装学
コラム HOME女装好学 > 10.キンモクセイ


0
10.キンモクセイ

秋になると芳香を放つ金木犀(キンモクセイ)。私は金木犀の香りが好きです。

金木犀の季節になると大学受験浪人時代を思い出します。私は多摩美術大学卒で学部は日本画です。…が、合格するまで4年も浪人しました。
とにかく、大学受験は辛かった。挫折と敗北と絶望をこの4年間で90%経験したと思います。9%は高校生までに経験したと私は考えているので、あと1%を残りの人生で経験すると思えば、今後どんな壁があっても気持ちが楽です。

受験浪人中は都内の大学受験用の美術学院に通っていました。4年目で不合格になったら大学は諦めて松本に帰ろうと考えていまた。秋になると願書受付が始まるのでますます焦ります。
浪人4年目の秋、母が東京に来てくれた際に「金木犀は人間達に秋になると香りをプレゼントしてエールを送っているのね」と話してくれました。それまで秋といえば願書受付や冬期講習の準備など頭の中は不安でいっぱいだったのですが、その言葉と香りを意識することでとてもリラックスできました。

今年もこの香りに街が包まれる季節になりました。街を歩いているときに金木犀の香りがしたら木を探してみてはいかがでしょうか。
華が咲いていないときは地味な庭木の金木犀ですが、鮮やかなオレンジ色の華を無数に咲かせ芳醇な香りを身にまとう姿は、まるで男性が女性に変身したときのように劇的な変化です。

余談になりますが、金木犀は雌雄異株で日本にある木は主に雄株のようです。雄しべと雌しべ(のようなもの)を持っている木だそうです。女装と金木犀になんだか共通したものを思う私です。

2010年10月4日