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6.旅路

ひとえに髭を隠すためのメイクといっても、そう簡単なものではありません。ただ塗りたくっては、仮面のようにおかしな顔になってしまいます。肌質を生かしつつ髭を隠すメイク、その方法を見つけた時の感動は今でも覚えています。衣装もただ事ではありません。人それぞれ好みは違いますし、女性のお衣装はデザインもジャンルも数多くあります。サロンでは、あれこれと揃えているうちに500着を越す迄になってしまいました。撮影時のポーズだとか、構図や背景にも拘って家具や備品の配置を工夫する。際限がありません。

すばらしいお写真を撮りたい、変身の完成度をもっと高めたい、それらを実現するのは技術なのか心なのか、なにをどんな風に改善すればよいのか。更に良いものを提供したいと、毎日毎日寝る時以外の全ての時間をかけて考えています。私がやりたい事…それは新しい女装のあり方の追求です。

社会に溶け込む女装とは何か?町を歩いていても、女性だと思われるハイレベルなメイク。外出をしなくても鏡に映る自分がまるで別人に見えるメイク。そして何よりも、女性として生きる一瞬の充実感を引き出すこと。そう男性としての日常生活から、180度転換した新しい人格を生み出すの為の装いです。

女装美の追求には終わりがありません。女装と関わっているこの時間が私にとってはとても楽しいものであり、同時に果てしない空間のあちこちへ冒険旅行をしているようにも思えます。その旅の中で出会った女装っ子さんやスタッフ達との関わりは自分にとって輝かしいものであり、出会いの一つ一つをかけがえの無い宝物と思っています。