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3.沢山の花々に囲まれて

私は女装メイク&撮影サロン、アルテミスの経営者として、様々なジャンルの方と知り合います。女装っ子さんはもちろんのこと、各種女装店のオーナー・TV&雑誌記者の方・医学関係の方・衣装販売店のオーナーetc・・・女装と直接に関係の無い別分野の方からもヒントを得て女装に生かす、それが私のやり方です。とにかく幅広いネットワークに支えられて、毎日の活動を続けています。このように経営者として、また女装学を研究する者として私にどうあるべきかを教えてくれるのは、私の周囲にある貴重な人間関係です。

どんな事業分野でも同じ事でしょうが、女装も亦大変奥が深いものといえます。「すべての事柄が女装につながる」と言うと少し大げさな言い方ですが、人間が作り出した物事には、必ず「女装とは何か」を考える上でのヒントが隠されているものだと思います。女装世界に入った6年前の私は、女装関係のお店に行ったり女装関係の書物を読んでばかりいました。しかしある事で行き詰まりを感じた時に、それ以上同じことをしていてもまったく答えが出ないことに気づいたのです。今までの女装を知ることは大切です。女装っ子さんがどのように遊んでいるのかや、女装の歴史をたどることも大変勉強になります。が、そうしたことは女装を研究するものとしては知っている事が当たり前とも言えます。私が見出したいと願うのは、女装の過去・現在・そして未来、女装はどの様に進化をして来て、どうなっていくのかということです。そして女装という文化を更に素晴らしいものにするには、どうしたらよいのかを研究することこそ私が追い求める女装学です。

私のこのような考え方はアルテミスのあり方にも現れています。私がアルテミスを始めた当初、システム・サービス・料金などはすべて私1人で考えました。もちろん、HPの作成もすべて私1人。まさに大海に1人で小船を浮かべて漕ぎ出す決意でした。えてして何かしらお店を始める際には同業者を参考にすることが多いのですが、私は一切しませんでした。(マネをしようと思っても、アルテミスのようなお店が無かった事も理由の一つでしたが・・・)「衣装販売店や飲食店のオーナーさんのお話、法律・秩序」がシステムとなり、「ゲスト様が今求めているものは何か?」を知ることがサービスとなり、「ゲスト様に対してもアルテミス側に対しても負担にならない中心ライン」が料金になりました。沢山の方と女装について語り合うことでアルテミスはどうあるべきかを考える。その考え方は今も同じです。

私は大学を卒業して社会人となってまだ数年。それなのに経営者となってしまいました。社会人としてはまだまだ芋虫の状態です。半人前の状態でアルテミスを始めてしまったこのことが、大変ラッキーだったと今痛感しています。頭が柔らかかったことでいろんなところからヒントを得ることが出来ましたが、他方では悪戦苦闘をして孤独や挫折を味わうことで、身をもって貴重な体験を重ねることが出来たからです。

そして今更に心強い人たち、アルテミススタッフやゲスト様、に囲まれて私の作り出したいと願ってきた世界が少しづつ形になって来ています。純女スタッフは、普段女装とはまったくかかわりの無い仕事をしている社会経験豊富な女性達。アルテミスター(女装っ子スタッフをアルテミスターと呼びます)は私よりも年上の人生経験豊富な女装っ子さん達。どちらも、オーナーとスタッフといった関係はあるにせよ、良いと思うことも悪いと思うこともストレートに私に伝えてくれます。励ましや、優しい言葉、時には厳しい意見の一つ一つが勉強になり、更に上のサービス・システムを作り出すヒントを与えてくれます。そして、ゲスト様は紳士(淑女)で素晴らしい方ばかり。その上ゲスト様方は「女装をして叶えたい夢」を私に語ってくださる貴重なアドバイザーです。

アルテミスを開業した2003年3月の事を今でも鮮明に思い出します。女装店をオープンするなら東京がいいと勧められていたのに、あえて横浜を選んだのは横浜の美しい環境と人柄の良さ、そして女装関係店がまだ進出していない更地でのびのびと自分らしくやりたかったため。産声を上げたばかりの新しい形の女装フォトサロンを、いつか集まってくれるスタッフやゲスト様と共に育てていきたかったからです。とは言えオープン当初、それは孤独の毎日でした。女装が浸透していない横浜に無力な女性オーナー、今までに無いサービス、システム、料金体系。オープンしてから1ヶ月の間、真新しい鏡台の前で1人ぽつんと座ってはいつかこの鏡の前で美しく変身した女装っ子さんと語り合いたいと夢見つつ、無常にもカレンダーには×の印が並ぶ現実に涙を流していた日々でした。初めてのご予約のお電話が入ったときの興奮は今でも忘れません。会員ナンバー、AR03000(2003年0番目のゲスト様)。Aさんです。(詳しくは、アルテミスHP内のコラム「初仕事」をお読みください)

今では沢山の心温かい人たちに囲まれて、オープンをしてから2周年を待たずに、なんとアルテミスをご利用頂いた方はもうすぐ400名を突破します。

出会いとは素晴らしい宝物です。出会いは華、お店は花壇。耕されたばかりの花壇に一輪、また一輪の華を植えることで、それは見事な花園か出来上がります。ゲスト様、スタッフ達、私の家族、私とかかわるすべての人たち、そしてHPを閲覧してくださっているまだ見ぬ方々。私はこれらの皆さんに生きる喜びを頂いていることに感謝をしつつ、これからもアルテミスという楽園をさらに成長させる為、力の限り頑張ろうと思います。